1000年に1度、7日間だけ夜空に現れるという千年彗星がよく見えるポケモン遊園地を目指して来たサトシ達。着いた先は何もない平原で落ち込むサトシ達だったが、突然現れたトラックの集団があっと言う間に巨大遊園地を作り上げる。 そこの人気マジシャン・バトラーとその恋人・ダイアンと親しくなるが、ダイアンの持っていた眠り繭の声をマサトが聴いた所から物語は展開していく。
ポケモン映画ではありません。怪獣映画です。
ポケットモンスターとしては6作品目、アドバンスジェネレーションとしては初の映画作品
基本的なストーリーはファンタジー。
1000年に1度、7日間だけ夜空に現れるという千年彗星がよく見えるポケモン遊園地に訪れたサトシ達、
サトシ達はそこでサーカスを見ることに。
サーカスの最中、サトシ達の仲間である「マサト」が不思議な声を聞く
その不思議な声はジラーチと呼ばれる伝説のポケモンだった・・・
というところからストーリーは始まる
序盤の展開は悪くない。
「ジラーチ」と自分のポケモンを持たないマサトが無邪気に交流するさまは可愛らしく、
二人で健気に遊ぶ様はあまり目立たない「マサト」がしっかりと主軸になっており、
そんな二人がどんなストーリーを展開するのかという期待感に包まれる。
しかしながら、ジラーチは確かに可愛いのだが伝説のポケモンとしてのインパクトが薄い。
能力が「テレポートとテレパシー」くらいなので、他の伝説のポケモンと比べると強さがわかりづらく
能力を使うとすぐに「僕眠い」と寝てしまう。
そんなジラーチを今回の敵は「彗星からエネルギーを吸収」するために利用する。
今回の敵は彗星のエネルギーを使ってグラードンの欠片から
グラードンを復活させるという計画を持っている。
あくまでジラーチはエネルギーを吸収するための道具にすぎない。
しかも吸収の方法が若干グロい(苦笑)
ジラーチはお腹の目が開くと彗星からエネルギーを吸収できるのだが、
もちろん敵は無理矢理開かせるため、ジラーチがやたら苦しみながら腹の目を開かせる。
それまで拙い子供のような演技のジラーチがいきなり拷問を受ける演技にかわるため
「ジラーチ」の可愛らしいシーンを見ているだけにやたら残酷に感じてしまう。
更に物語早々で敵が本性を表し、あとは移動だ。
七夜の願い星というタイトルにあるように今回物語は「7日間」の話なのだが
最初の3日間はポケモンサーカス、
あとの4日はジラーチが帰りたい場所への移動という構成になっており
本来ならその中で「ジラーチとマサト」の交流をもっと描かなければならないのだが、
最初の遊園地で遊ぶシーン意外で二人が仲良くなるシーンがほとんど描写されない。
寝てばかりだ(苦笑)
移動のシーンはダイジェスト的に小イベントが描かれるが明らかに「尺稼ぎ」に感じてしまう。
本来なら10歳未満で手持ちポケモンを持つことの許されないマサトが
初めてパートナーと呼べるポケモンとの交流が始まったのだから、
もっとそこを強調したストーリー展開にすべきだった
そのせいでマサトが「ジラーチとの別れ」を意識して寂しがっても
遊園地でちょろっと遊んだ二人という描写しかされてないだけに掘り下げが甘く、
マサトが寂しがる様子が描かれてもいまいち感情移入しにくい。
そもそも「ジラーチ」がよくわからない。
ジラーチは1000年に一度彗星が訪れるときに彗星の力を吸収し
1000年掛けて大地に注ぎ森を作るというポケモンなのだが、
ジラーチは「見守ってくれる心が素直な少年をパートナー」を選ぶらしく
更にパートナーがいないと目覚めないという設定だ。
だが、眠っているジラーチの外見はちょっと変わった石でジラーチとはわからない。
更にジラーチがそもそも眠っていたのは街から離れた森を抜けた先の谷のような場所だ。
今回はたまたま「敵」が眠っている場所から盗って来たためマサトに出会えたが、
そのままの場所にいたままだったらどうなっていたのだろうか(苦笑)
心が素直な少年がジラーチのために険しい道をいき森を抜け谷の洞窟まで行くのだろうか・・・w
そういった点でも設定やストーリーの詰め込みの甘さを感じてしまった。
更に物語終盤では引くくらいでかい「メタグラードン」が現れる。ちょっとでかすぎだ(苦笑)
それまで迫力のないシーンの映画だっただけに迫力を出したいの分かるのだが、
ゴジラじゃねぇんだからと思わず突っ込みたくなるほどでかい。
敵も予想外だったらしく、もちろん制御できない。
更にはもののけ姫のディダラボッチのごとく
伸ばした触手でポケモンを吸収するというグロい能力のおまけ付き。
メタグラードンがやられるシーンは悲惨だ、なにせ跡形すら残らない。
ポケモンでこんな悲惨なやられ方をしたの初めて見た(笑)
本家グラードンが公式設定で3.5mという身長らしいのだがメタグラードンは少なくとも50mはあるw
映画だから迫力が出したい!という制作側の意図が見え見えで、
オリジナルのグラードンを超えるようなグラードンを安易に出してしまった感じは否めない。
前半まではポケモン映画だったのだが、後半からは特撮怪獣映画だ(苦笑)
更に終盤では「空中戦闘」のシーンが良く描かれるのだが
サトシが空をとぶために使うのはフライゴンというポケモンだ。
このポケモンは別にサトシの手持ちでも何でも無く、ジラーチが住む場所に居た通りすがりのポケモン。
何の思いれもないポケモンがいきなり大活躍だ。
サトシは色々なポケモンを持っていたはずなのだが今回活躍の場面はない(苦笑)
全体的に見て子供騙しな作品だった。
突込みどころ満載な設定の数々や描写しなければならない部分をきちんと描写していないため
「マサトとジラーチの別れ」というお涙頂戴シーンという映画で1番盛り上がるシーンが
遊園地でちょろっと遊んで4日間移動していただけという描写しか無いためいまいちしっくりこない。
映画の表題でもある「七夜」という日数を活かしきれておらず、
やりたいことは見え見えに分かるのだが、そのやりたい事をストーリーで見せることができていない。
これがTVスペシャルならまだ納得できたかもしれないが、劇場作品としての魅力は感じなかった。
こんなに微妙な作品でも前売り券は100万枚売れ、興行収入は45億円と
ポケットモンスターというネームバリューのすごさをひしひしと感じさせた。
そのネームバリューに見合う映画にしてほしいとも同時に思ってしまったが・・・(苦笑)
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