青春

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

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評価/★★★★☆(62点)

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 評価

全12話
監督大沼心
声優/橘田いずみ,花澤香菜,中村悠一,釘宮理恵,野中藍ほか

あらすじ
黒木智子は喪女である。 女子高生になれば何もしなくてもモテモテだ。そんなふうに考えていた時期が彼女にもありました。しかし、入学して2ヵ月経っても彼氏ができるどころかクラスメイトともろくに会話もできず、焦り出した智子は行動を開始した。しかし、人見知りで他人とのコミュニケーションが苦手な彼女にとって、まず家族以外の人間とまともに会話することから始めなければならなかった。 これは、モテない女子高生がモテるようになるために、見当違いの努力と虚しい奮闘を重ねる物語である。

あぁ・・・悲しき喪女よ・・・

原作は漫画な本作品。
アニメとしては珍しく「喪女」や「ぼっち」をテーマにした作品
喪女やぼっちに関してはググってください(笑)

基本的なストーリーは青春コメディと言えば聞こえがいい。
乙女ゲーム内で50年の人生を過ごしたヒロインは花のモテる女子高生生活を夢見る
しかし、乙女ゲームの50年の人生経験は一切活用されず
彼女は高校に入ってから2ヶ月も誰とも喋っていなかった・・・
というところからストーリーが始まる
まずOPからやられる、まさかのヘビメタ調のOPは強烈な印象を残す(笑)
更に開始5分でヒロインが白目を剥く作品など他にはないだろう。
開始10分でゲロまで吐く始末だ(笑)
もはやヒロインと呼ぶのがふさわしいかどうか悩んでしまうほど残念過ぎる彼女はモテるために画策する。

イメチェンしたり、弟と会話の訓練をしたり、痴漢されたいと思ったり
可愛い下着を買おうとしたり、無表情キャラを作ろうとしたり、夜の女になろうとしたり
女性ホルモンを分泌させるために乙女ゲーをやりまくったり、ラブホをのぞいたりと
モテるためにやってるのか間違っているのかわからない行動ばかりだ(笑)

その結果に対するヒロインの反応が面白い。
明らかにまともに喋っていないのに、ちょっと喋っただけで成功した!と一喜一憂し、
傍目から見たら明らかに「成功」してないのだが彼女は持ち前のポジティブ思考で日常を過ごす。
他の行動に対する結果も明らかに「残念」なのだが、それが本作品の魅力であり、同時に笑いに繋がっている。
見ているとたまに悲しくもなってくるほどの笑いだ(苦笑)

彼女はぼっち心理&喪女化進んでおり、他人との会話はうまくできず
女子のパンツをのぞいたり、ヤンデレ男子ドラマCDに悶たり、妄想に明け暮れたり、
BLゲーとマッサージを堪能したり、男性声優のイベントにいったりと痛い行動を繰り返す。

しかし、そんな悲しい状況でも彼女は強く生きる(笑)
リア充な周囲を脳内で罵倒しまくり、ポジティブ思考で都合よくとらえ、自分を可愛いと思い込む。
性格が悪い・・・とも言えるのだが、このポジティブ思考なのにボッチという正反対とも言える要素が
絡み合ってるからこそ状況はどんどんと悪化していく。

強く生きてはいても彼女の周りはリア充だらけだ。昔からの友達には彼氏ができ、
時間が進めば進むほどクラスメイトの関係性は完成され、どんどんとぼっちになっていく。
この作品はそんなぼっちヒロインの様々な状況を
時には共感し、時には悲しみ、時には笑ってしまい、ひたすら楽しむ内容になっている。

これが一歩間違えばヒロインの性格の悪さが顕著に描写され面白くなる前にヒロインにムカつきかねないが、
ヒロインの描写の仕方がうまく「ギャグ」に変わっている。
それは大胆なカメラワークだったりオーバーなアクションで普通のシーンを演出されていたりと
アニメ的な工夫が随所に見られ、それが作品のいいスパイになり笑いに繋がっている。

本当に一歩間違えばボッチ心理は可哀想で見ていられない。
しかし、ヒロインのポジティブ思考や妄想シーンのお陰で悲惨さが薄れ
更に声優さんの演技のお陰で暗くなり過ぎない。

しかし、様々な「重くなり過ぎない」「暗くなり過ぎない」ように描写するヒロインに対し
正反対の彼女の唯一の友人の「ゆうちゃん」がいいスパイスになっている。
「ゆうちゃん」は中学時代はオタクでヒロインと同じような感じだったが、
見事な高校デビューを果たし、スタイルは抜群、彼氏がいる、バイトもおしゃれと

ヒロインと正反対な状況にいる。
そんな「ゆうちゃん」を目の当たりにしヒロインは絶望する。
しかし、絶望はしても彼女は諦めない(笑)
「ゆうちゃん」に対抗してヒロインも頑張るが・・・やはり、うまくいかない
ヒロインの行動する気持ちは間違っていないが、行動内容がズレてしまっていたり
ぼっち心理がしみついてしまってうまくコミュニケーションがとれないため、なかなかうまくいかない。
ある意味で全ての話、見事にきれいな「起承転結」ができておりオチも抜群だ。

全体的に見てリアルな「ボッチ女子高生」を生々しくも描きつつ
それをきちんとギャグにしているアニメだ。
ギャグにしてるからこそ笑えるが、基本的に救いのないストーリー展開は
見ていてたまに悲しくなるがだからこそ面白い。

容赦なくヒロインをぼっちの状況に追い込み、
そんな状況でもヒロインが健気に活きているからこそヒロインに感情移入
どうあがいても報われない彼女のぼっち状況が笑いに繋がっている。

1話からヒロインはほとんど成長していない。
別に彼女はいじめられているわけでも、意図的に無視されているわけでもない
クラスメイトに話しかけられるシーンもわずかながらあり、
恐らく普通の作品なら彼女に変化があったり、ボッチ状況を改善するための人物が現れるのだが
本作品はリアルにぼっちを徹底しているため、そんなイベントは起こらない(笑)

ただ話のパターンとして起承転結がしっかりできている分、オチを読みやすく
1クールだからこそ飽きる前に終わったが、
2期があった場合やっていることが同じなため飽きる可能性もある。
1期の段階ではギャグ日常アニメとして安定した面白さがありネタ切れもしていないため毎話楽しめた。

しかしながら作品としてきっちりとした「ストーリー」があるわけではない。
あくまで「ぼっちネタ」での「ギャグ」であり「ストーリー性」がなく
作品内の時間だけが経過してしまっている。
ヒロインが一切変化がないという面白さがこの作品の魅力ではあるのだが、
やっていることは同じというジレンマを産んでおり、
作品をあきさせないための新しいスパイスがほしいと感じてしまう部分もあった。

更に言えば1話30分だと少し冗長に感じる部分もある。
恐らく本来このアニメは「1話15分」のほうが合っている
ギャグにしているが、まじめに捉えると悲しくなるボッチなヒロインは
テンポの良さで重くなり過ぎる前に話のオチをつけなければ重くなり過ぎてしまうため、
1話15分のほうが内容的にも合っていたはずだ。話によっては若干、長く感じる話もあった。

しかしながら1度見る分には十分に楽しめる作品だ。
ここまで徹底してヒロインを「ぼっち」という状況に雁字搦めにする作品は他にはない(笑)
あまりにも徹底してリアルなぼっち状況は人によっては悲しくなったりする場合もあるかもしれないが
逆にそういう方はヒロインに強く感情移入できるはずだ。

2期に期待したいところも大きいのだが、いかんせん売上は芳しくない。
あとは原作の売り上げ次第というところもあるのだろうが
原作の売り上げも微妙なようだ、現在の状況だと2期は厳しいが・・・
この作品が売れないのは誰が悪いのだろうか(苦笑)

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