千葉市立総武高等学校に通う高校二年生の比企谷八幡は幼少時から友達が出来ず、その結果友達を作ることを諦めて「ぼっち」を極めようとしていたが、生活指導担当の教師・平塚静に目をつけられ、学校一の美少女・雪ノ下雪乃が所属する「奉仕部」に入部させられた。奉仕部は生徒の問題を解決する手助けをする部であり、表立ってはその活動が明らかにされておらず、静による紹介によって生徒が送り込まれて来る。
定番青春ラブコメくそ食らえ、斜め下青春ラブコメはいかがですか?
マンガやゲームなどメディアミックスが進んでいる作品だ
監督はこの作品が初監督作品
見だして感じるのは「ああ、ラノベだな」という感じだ(苦笑)
自分語り、やれやれ系な感じの主人公、異色な感じの先生、ツンデレっぽいヒロインっと
ラノベと言わなくてもラノベ原作と分かる分かりやすい冒頭だ。
更に「作画の不安定さ」に不安を覚える。
キャラクターで残のせいもあるのだろうが、同時期に放映された作品に比べ明らかに作画の質は悪い。
酷い作画崩壊というのはギリギリないが本当にギリギリだ。
全編に渡りいつ崩れてもおかしくない危うさがある。
意味もなく背景を写すシーンや引きの画、止め絵も多く「アニメーション」としての面白さは薄い
ストーリー的にもかなり「淡々」としている。
淡々と主人公が先生に言われて「奉仕部」に入り、淡々とヒロインとからみ
淡々と奉仕部への依頼を解決していく。割とあっさり。
しかし、この「淡々さ」はこの作品の魅力といえるだろう。
そう淡々がゆえに会話劇のセリフが自然に聞こえ、淡々が故に徐々にこの作品にはまっていく
この作品は一言でたとえるなら「生々しい」内容だ。
主人公は孤独を気取り、ヒロインの1人は優秀があるゆえに孤独、もう一人のヒロインは周りに合わせる
そんな3人が中心になり、学校での生々しい人間関係が描写される。
クラスのリーダー格への態度、クラスの中での行動、ぼっちがとるクラス内での行動、
そういった普通の高校生のリアルな人間関係は妙な生々しさを感じる。
生々しいからこそ淡々だ、これで無駄にテンポが良ければこの作品の生々しさが消えてしまう。
そうかと思えば生々しい内容からいきなりアニメ的な内容になる。
厨二病な男性キャラがノリノリで存在したり、男の娘があらわれたり、腐女子が現れたり、
主人公の過去が物凄い痛かったり、そのアニメ的な内容が非常におかしく、
そんなアニメ的な内容を生々しく突っ込むことによる強い笑いが生まれている。
現実と非現実の激しい振り幅は非常に面白い。
それはライトノベルの痛烈すぎる批判だったり、可愛すぎる男の娘に対する態度だったり、
主人公のもう冷め切った態度だったり、リアルな女子のいざこざだったり、
現実的な要素と非現実的な要素の差が大きく、ごちゃまぜになってるからこそ
見ているこっちもごちゃまぜに振り回されている感覚になる。
物語の本筋である「奉仕部」への「登場人物のお願い」の解決方法も面白い。
ものすごい盛り上がりどころがあったり、衝撃的な展開があるわけでもない
あくでも冷め切った主人公の態度と同じく淡々と淡々と解決する、
ここまで「刺激が少ない」作品もラノベ原作では非常に珍しい
だが、刺激がなくとも面白い。かなり不思議な感覚だ。
物凄い面白いわけじゃない、物凄い笑えるわけじゃない、物凄い萌えるわけじゃない
でもなぜか見てしまう。
その原因は「主人公の魅力」だろう。
彼はいわゆる、やれやれ系の主人公であり頻繁に自分語りが入る
しかし、彼の徹底されたぼっち心理は不思議と愛着が湧き、
彼の行動や言動が不思議と共感がわき、
普通なら気になるはずの自分語りすらもギャグになっている。
彼はラノベ主人公お得意の定番の聞こえないふりなどはしない、全て聞き入れる。
聞き入れるからこそ冷静に行動し、ぼっちとしての言動を突きつける
可愛いヒロインに普通の主人公なら戸惑ったり赤面したりする場面でも彼は冷めている(笑)
長年のぼっち心理はちょっとした触れ合いでは抜けない。
あくまでも彼は冷静に、普通のラブコメを斜め上から進める(笑)
独特かつ魅力的な主人公だからこそ盛り上がりの少ないラブコメが面白くなる。
ある意味、盛り上がりが少ないからこそ主人公が魅力的に見えると言っても過言ではない
ストーリーも面白い。
この作品のタイトル通り「間違いだらけの青春ラブコメ」なのだ。
それは主人公のヒロインに対する考えだったり、ヒロインと主人公のすれ違いだったり、
間違いだらけの彼らのラブコメは徐々に正されていく。
いわば定番ラブコメを斜め上から見たような展開の数々だ。
いや訂正しよう、斜め下から見たような展開だ(笑)
定番ラブコメ糞食らえな彼らのラブコメは感情移入するというよりは見ていて楽しい。
不器用で無様でかっこわるい。
だが、だからこそ生々しく、だからこそ面白い。そして可愛い。男キャラすらも可愛い。
むしろ男の娘キャラのほうが他のヒロインより可愛いw
そう逆にこの作品の女性キャラは生々しすぎる
それこそ終盤では学校生活を送っていたならば誰しも経験したことのあるであろう
「女子」の嫌な部分を見ている側の過去の記憶を読み覚ますほど視聴者に見せつける。
もしかしたら、それは人によってはトラウマかもしれない。
だが、経験したことがあるからこそキャラクターに強く感情移入できる
そして見ている側が言いたいことを主人公が言ってくれる
12話こそ主人公最大の魅力を発揮しており、見ている側が愛せる主人公だ。
彼の気持ちが痛いほど分かり、周りのフォローとヒロインの存在がありがたく感じる。
これほどまで主人公に感情移入できる作品を久しぶりに味わった
全体的にもう何もかも間違っているが、間違っているからこそ面白い作品だ。
やれやれ系の主人公と一括りにするのがもったいないほど
やさぐれて世間を斜めに見ている彼の青春ラブコメは、
見れば見るほど話が進めば進むほど主人公に対する感情移入を強め、それに答えてくれる。
そんな主人公をアニメ的な男性キャラクターと生々しい女性キャラが支える。
欠点を言えば淡々とし過ぎている序盤から中盤、
更に言えばアニメーションとしての面白みは酷く薄い。
声優さんの演技による面白さももちろんあるのだが、
せっかく可愛いヒロインやそれに伴うシーンがあるのに、
その状況としてのインパクトはあるのだがアニメの1シーンとしての面白みが薄い。
はっきり言ってしまえば「演出の弱さ」を所々に感じてしまった
この作品はたしかに面白い。
昨今の頻発するライトノベル原作アニメに比べると独創的な部分が多く
ライトノベル原作アニメを皮肉っているとも言える内容だからこそ面白い。
しかし、他のライトノベル原作アニメに比べると「絵的」な面白さにかけてしまっていた
更に言えば活躍不足なキャラも多い。
1クールという尺だから仕方ないのはわかるが、
何のために出てきた?と感じてしまうキャラも2,3名ほどおり
2期での活躍を期待したいところではあるのだが、
いっそ1期では削っても問題なかったのではと感じてしまう。
その分、2期に期待できる部分は多い。
ストーリー的にも主人公的にもキャラクター的にも、作画的にもだ。
売上はかなり好調のようだから2期ではクォリティアップを期待したい所だ
個人的にはタイトルからいつもどおりのラノベアニメを想像していたのだが
イイ意味で見事に裏切ってくれた。
2期を強く期待したい作品だ
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