国連直属の秘密組織SML(Seigino Mikata Love:正義の 味方 LOVE)の一員、コードネーム・お色気は、秘密結社ブタのヒヅメの飛行船から、ある秘密兵器を動かすために必要なディスクを盗み出し、東京湾へと脱出した。
お助け料1億万円、彼はその価値に見合う救いのヒーローだ
なお、この作品の次回作である「温泉ワクワク」にもブリブリざえもんが一瞬だけ出るが、
その後、ブリブリざえもんが声付きで映画に登場することはない。
ブリブリざえもんを演じられていた「塩沢兼人」氏が亡くなってしまっており、
そう考えると余計に「しんのすけ」と「ブリブリざえもん」の別れが強調されるように感じる。
序盤から笑える。 恒例の臼井儀人氏の熱唱カラオケから始まり、松坂先生のひとり上手(笑)
そして物語が開始して10分もしなうちにどんどんとストーリーが動き出す。
前置きや溜めなどがなく、一気にストーリーを盛り上げる。
子ども向けとしては冒頭からこれだけインパクトのあるシーンで構成しているのは正解といえる
序盤の山場ともいえる「トイレシーン」。
ガタイのいい男がよちよち歩きでおしりを抑えつつ、
みさえとひろしの妨害を受けながらトイレに向かうシーンは
劇画タッチになる作画と強烈な演出のおかげで強い笑いを生んでいる
トイレに入った彼を花畑とひまわりで表現するなど芸術の域と呼んでもいい(笑)
中盤からは「かすかべ防衛隊」が荒野に投げ出され子どもたちだけで行動する。
後の作品を見た後に比べてしまうとこの部分の面白みはあまりあるとはいえないが、
「幼稚園児だけで誰もいない荒野を歩く」という一見無謀とも思えるシーンは
後のクレヨンしんちゃん映画に与えた影響は大きいと言えるだろう。
そして現れる「ブリブリざえもん」。
ブリブリざえもんは元々しんのすけが書いたただの絵だ。
彼は映画ではお助けキャラとして頻繁にしんのすけの前に現れ、いつもユニークな行動をとる。
そんな彼が今回は敵が持つ兵器だ。
性格自体は彼そのものだが、悪者に利用されているため彼は悪だ。
そんな「ぶりぶりざえもん」をしんのすけは説得する。
自分が考えた本当の彼の物語を、まるで子供に聴かせるように語る。
ぶりぶりざえもんは悪者じゃない、ぶりぶりざえもんはオラの友達で救いのヒーローなんだと。
しんのすけの考えた物語はよくできており、彼のキャラクターを生かしたストーリー展開と
彼の成長と変化を描き、そして彼は自分の中の「正義」を自覚する。
しかし、彼は消えなければならない。彼が生きていれば悪者に利用されてしまう。
「ぶりぶりざえもん」が人助けをしようと決意した次には彼は消えてしまう。
彼が別れの言葉を残しながら徐々にしんのすけの前から消え、しんのすけは涙を流す。
泣き顔は見せない、そっとマスクの下に涙が流れるだけだ。
そして彼は最後の最後でしんのすけの「救いのヒーロー」になる。
しんのすけの「助けて」の声をきいて、消えたはずの彼は懸命にその小さな体で助ける
それはただの幻だったのかもしれない。
だが、しんのすけは確かに「ぶりぶりざえもんが助けてくれた」と実感する。
ふんだんに盛り込まれたギャグとアクションシーン、
そして無理矢理ではない「ほろり」と来るしんのすけとぶりぶりざえもんの友情は
ストレートに面白いと感じ、ストレートに感動してしまう作品だ。
また今作は異常なまでにアクションシーンにこだわっている。
格闘シーンの動きや作画はかなり練られており、動きまくる。
迫力ある戦闘シーンは劇場という大きなスクリーンで見ても見劣りしなかっただろう
そんな迫力のある戦闘シーンをギャグ要素がイイ意味で台無しにする(笑)
時にはダジャレを言いながら、時にはすもうスーツを着ながら、時にはフライパンを武器にして
迫力ある戦闘シーンとギャグのコラボレーションはクレヨンしんちゃんならではだ。
全体的に見て感動要素とギャグ要素がマッチした作品だ。
序盤から終盤まで激しいアクションシーンをいれつつ、ギャグをふんだんにいれ、
最後に涙腺を触るように泣かせる、シリアスな部分とコメディ部分のバランスがすばらしく
ストーリー自体は単調なのだが飽きさせない。しっかりと作られている作品だ。
ただ今作の敵のボスが若干深みに欠けるのは残念だ。
冷酷無比なキャラとぶりぶりざえもんの絡みは笑えるのだが、
彼の目的は恐らく世界征服なのだろうが、いまいちピンとこない。
ブリブリざえもんが兵器となっているせいもあるのだが、 これまでのクレヨンしんちゃん映画の敵ボスに比べるとインパクトは弱い。
また本作品のヒロインである「お色気」がボコボコにされるシーンが有るなど
若干、子ども向けとは言い難い要素もあるのも少し気になる所だ。
しかしながら、それを指しおけば爽快感のあるクレヨンしんちゃん映画作品だ。
まるでシュワルツネッガー主演のアクション映画を見ているようなそんな感覚にもなる。
豪華過ぎる声優陣がそうさせるのかもしれないが(笑)
余談だが、本作のヒロインを演じているのは「三石琴乃」さんだ。
彼女が選ばえれた理由は原恵一監督が「エヴァンゲリオン」に当時はまっており、
葛城ミサトを意識したキャラ設定を行ったかららしいw
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