闇に覆われたどこかの国。ゴーマン王子がお姫様を救うため二人のオカマ魔女マカオとジョマに立ち向かったが、マカオとジョマの魔法によって、呪いをかけられてしまう。 しんのすけ達は、ふたば幼稚園の遠足で群馬に出来た新しい遊園地「ヘンダーランド」に遊びに来た。そこでひまわり組のみんなとはぐれたしんのすけは、サーカスのテントの中でトッペマ・マペットという不思議なねじ巻き人形と出会う。
ヘンだ、ヘンだよ、ヘンダーランド~♪嘘だと、思うなら!ちょいとおいでー
監督は本郷みつる氏、この作品で本郷みつる氏はしばらくクレヨンしんちゃん映画から離れる
序盤から細かい部分で大人を笑わせてくる。
本作で出てくる新しく出来た遊園地「ヘンダーランド」のCMは
子供ならしんちゃんたちと同じように妙に耳に残り、
「へんだへんだよ、ヘンダーランド~」と歌い出してしまうような曲だ。
更に大人向けにはCM内のセリフで「群馬にある」「東京からは思ったほど遠くない」など
子供には伝わりにく小ネタで笑わせてくる
そんな中、しんのすけは1人「ヘンダーランド」で迷子になってしまう所からストーリーが動き出す
この作品は子供目線の作品だ、しんのすけが迷子になる展開も
子供なら「自分ももしかしたら同じ状況になるのかもしれない」という感情移入をうみ、
遊園地という日常とは違う場所だからこそ、人形の女の子や狼男などのキャラが現れても
違和感がなく自然だ。
最初は狼男よりも人形の女の子を信じる「しんのすけ」だが、
綺麗なお姉さんが現れればそっちを信じてしまう(笑)
クレヨンしんちゃんらしさを序盤からきっちりと感じることが出来る
そして唐突にはさまれる「おかま達」。
今回は二人のおかまが敵のボスなのだがキャラクターデザインも強烈だが
バレリーナ風で出てくる度に吐き気を催すほどの濃ゆさを生んでいる(笑)
序盤で迷子になり不思議なファンタジーの登場人物の戦いに巻き込まれるしんのすけ、
そして、その戦いは味方の人形の女の子がやられて終わり
しんのすけは何もできず、誰にも言わず、心に引っかかりを残しながらも家に帰る。
ファンタジーの世界から日常の世界へ戻り、そしてそこでまたファンタジーの世界に行く。
この日常と非日常の描き方のバランスが素晴らしく
その中での「5歳児」としてのしんのすけの行動や発言が妙にリアルだ
だからこそ世界観に引きこまれ、だからこそキャラクターに感情移入できる
日常の中でも「しんのすけ」は普通に生活しながらも気になる。
人形の女の子に頼まれたこと、それを断ってしまった事、
敵を倒すことの出来るトランプを寝る前にチラッっと見るが寝てしまう。
そこに現れる「ス・ノーマン」。
この映画を1度でも見た方はこの「ス・ノーマン」というキャラの印象は強烈に残ってるはずだ
彼はしんのすけの持っているトランプを奪いに来た敵だ。
しかしながら、最初は「幼稚園の先生」として幼稚園に潜入し、しんのすけに近づく。
彼の外見はただの「雪だるま」なのだが、徐々に・・・徐々に恐怖を生み出す。
心に引っかかりのある「しんのすけ」の引っ掛かりにゆっくりと触れるように
じわ・・・じわ・・・っと恐怖心を煽る。
しんのすけだけが彼は悪いやつだと訴えるが友達も両親も信じない
そして追い詰められたしんのすけはついにトランプの力を使う
そこで現れるお約束の彼ら(笑)
日常の中の恐怖から非日常のギャグへとストーリーが展開し、シーンの空気感が一気に変わる。
更にそこから、次のシーンではまた空気感が変わる。
このストーリーの素晴らしい抑揚の付け方は大人でも見ていて面白いと感じる
「ス・ノーマン」や「人形にされた両親」など
若干子供のトラウマになりかねないほどの恐怖心の煽り方をしており、
だからこそ物語の主人公である「しんのすけ」に感情移入できる
そして戦いに1人で赴く。
また芸能人の使い方が素晴らしい(笑)
昨今のクレヨンしんちゃん映画では微妙でしか無いゲスト芸能人キャラだが
今回は「雛形あきこ」さんが出ており、ちょくちょく出てくるのだが
魔法の存在を信じさせるためというためだけに出てくるw
キャラクターの使い方が非常に上手く違和感が一切ない。
終盤の戦闘シーンも素晴らしく、あまり役に立たない例の3人組や
「人形の女の子」であるトッペマ・マペットとしんのすけのストーリーは
涙腺の弱い方なら思わず、涙がこぼれてしまうかもしれない。
そして始まる最後の戦い。
オカマの二人組と野原一家、この組み合わせがどんな戦いをするのかと思えば・・・
もうあとは是非本作品をご覧になっていただきたいw
「クレヨンしんちゃん」という作品だからこそ許されるシュールとも意味不明とも言える
戦いの数々は笑わずにはいられない
そして追いかけっこ。
第一作目でもハイグレ魔王との追いかけっこを繰り広げていたが、
本作でもボスとの追いかけっこシーンが有る。
このシーンは1作目以上に作画の大胆さが極まっており、
追いかけてくるのが二人のオカマという点で余計に濃ゆさが増している(笑)
ストーリーのオチもまるで絵本を読み終わったかのように締めており
変に引っ張らず、すっきりと1つの作品を見終わった感をより強めている
全体的に見て素晴らしい出来栄えだ。
日常と非日常のストーリーの切り替えが素晴らしく、子供の目線で見た怖さや面白さが極まっており
そこにクレヨンしんちゃんらしいギャグや強烈なオカマキャラや
良くも悪くもトラウマになるほど怖い「スノーマン」などのキャラが光る。
子供の頃から何度も見た作品なのにおとなになった今でも十分面白い
というより、子供の頃は意味のわからなかったギャグが大人になって分かり
視点が変わったことによる面白さも生まれていた。
間違いなく子供も大人も笑って楽しめるクレヨンしんちゃん映画だ。
欠点らしい欠点が本当に見つからず、唯一のべるなら子供には「怖い」部分があるということだが
その怖い部分も楽しめる本作品においては欠点とは言い難い。
ここまで来ると後は好みの問題になってくるだろう
多くあるクレヨンしんちゃん映画の中でこの作品が1番好きという人が
結構多いのが納得できるほど完成度の高い作品だ。
このレビューを読んでいる方は子供の頃に見て大人になってから見てないという人も多いと思うが
ぜひもう1度見てほしい。
子供の頃と同じように笑い、子供の頃には気づかなかったギャグで笑える(笑)
より一層、この作品が好きになるはずだ。
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