しんのすけが住むカスカベ市ふたば町では、新しい町長に就任した四膳守(しぜん・まもる)を中心にエコロジー活動が盛んになっていた。ある日、ふたば幼稚園の課外授業で地域の清掃活動に参加していたしんのすけは、河原で謎のアタッシュケースを発見。その中に入っていた不思議な緑色のドリンクを拾い持って帰る
環境保護団体と動物愛護団体にろくな奴は居ない。
原作者である臼井義人さんが公開から半年後に亡くなったため、
臼井さんが上映を見届けた最後の作品となっている。
基本的なストーリーはコメディアクション。
しんのすけの住む町内の町長が変わり、エコ活動が活発になった
そんな中、しんのすけはあるジュースを拾う。
そのジュースをしんのすけの親である「ヒロシ」と「みさえ」が飲むと
体がなぜか動物になってしまったという所からストーリーは始まる
この作品ではエコに徹底している、ある意味皮肉とも言えるエコだ(苦笑)
しんのすけ達が乗る車は人力になっていたり、それを追う敵の乗り物も
風を利用した乗り物になっていたり、
攻撃方法がアキカンに砂を詰めたものを投げるなどリサイクルされたものだったりと
エコに徹底した内容になっているのは面白い。
ストーリー的には動物にされた両親を救うため、
しんのすけとかすかべ防衛隊のメンバーが敵の組織に乗り込むという感じだ
変な伏線や凝った設定などはないがシンプルで分かりやすいストーリー展開になっており、
アクションシーンやギャグをはさみつつストーリー展開をする。
後半ではかすかべ防衛隊も動物になってしまい、
それぞれの動物の特性を生かしたシーンの数々は思わず笑える、
終盤では「クレヨンしんちゃん」のキャラクターの数々が動物へと変化しつつも
日常を送っているシーンが描かれたりと
本作は「笑える」シーンが多いのが特徴だ。
ただ、それだけではなく、クレヨンしんちゃんの映画らしく家族愛も描かれ
感動できるシーンも描かれている。
しかし、どうも本作品はあっさりとしすぎている。
悪役の目的もわかりやすいのだが、「人が動物になる」という設定だけで
ストーリーを進めてしまい、もう一捻りあれば物語の面白みが増すと思うのだが
敵もあっさりと改心し、あっさりと人間に戻れてしまう。
人間に戻る展開にもう1つストーリー展開があれば、映画が終わった後の
物足りない感じが減ったかもしれない。
途中まで大活躍だった「かすかべ防衛隊」が終盤いきなりいなくなってしまうのも
消化不良気味になってしまっている点だろう。
全体として、それなりには面白いのだが、特筆してココが凄い良かった!と
感じる部分は少ない。
全体的にストーリの浅さや締めの甘さなどもあり、
見終わった後に何だか物足りない感じは残るものの、
子ども向けの映画としては「それなり」の出来栄えになっており、
クレヨンしんちゃんらしさを感じられるポイントも多いのだが、
それを最大限に活かしきれておらず、どうももどかしさが残ってしまう作品だ。
決して面白く無い訳じゃない。
だが、どうも「オトナ帝国」や「戦国」を意識した感じの感動シーンがしっくりこず、
みさえとしんのすけの感動シーンが「泣け!」と言われているような感じもしてしまう。
劇場という大きなスクリーンと音響で見れば騙されたかもしれないが・・・
ただ、私はこの作品で自身に好きな好きシーンが有る。 それはしんのすけが今作のヒロインをを自宅に招きお風呂を貸してあげる
というシーンなのだが、彼女に石鹸を渡す際に後ろを向いて隙間から渡す。
普段からお姉さんお姉さんと言っている「しんのすけ」がまだまだウブな子供で、
一緒に入る?と聞かれても照れながら断る。
このシーンの空気感が私は妙に気に入っている。あくまで個人的な意見だが(笑)
全体でエコを批判しつつも最後に大事だよと伝えるシーンは
子ども向けとしては良い題材だったかもしれない。
これが映画ではなくTVスペシャルだったらもう少し高い評価ができたが、
映画という舞台では若干甘さの残ってしまった作品だった。
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