ドラゴンエイジ……それは、魔法と魔物が存在する時代。セダス(世界)はチャントリー(教会)によって統治されていた。
見所はドラゴンだけ
原作は海外でも人気のRPG「ドラゴンエイジ」。
エクスマキナ、ベクシルなどでお馴染みの曽利文彦氏が監督
見だして感じるのは3DCGの「差」だろう。
ドラゴンはかなり迫力があり、鱗などもリアルに描写されているのだが
その反面、人物の描写の質が低い。
鎧や剣、血しぶきなども違和感が半端なく
人物の表情や動きも妙に「ぬるぬる」で軽くドラゴンとの差が激しい。
戦闘シーンもつまらない。
せっかくの戦闘シーンなのに顔のアップでごまかすシーンもあり、
その顔の表情も別にわざわざアップにしてまで描写するような表情ではなく
斬りつけているのに切り傷があったりなかったり、血が出たり出なかったり、
血の量も多い時と少ない時があり(怪我の程度は同じくらいでも)、
きっちりとした演出がされていないことが分かる。
戦闘中にスローモーションを多用するなど、いかにもハリウッド的だ。
ただ別に「スローモーション」にする意味を感じないシーンばかりで
なぜスローモーションにしたのかわからない。
スピード感のあるシーンからいきなりスローモーションを多用するシーンなど
テンポを悪くしているだけで思わず苦笑してしまう。
実写でスローモーションは動きをわかりやすくするためという感じがするが、
アニメにおいてスローモーションを多用すると
戦闘シーンをよく見せようとする「甘え」に感じてしまうのは私だけだろうか?
速い動きほど作画の枚数も必要で動きも複雑になる。
3DCGの場合はそういったものを来にしなくていいはずなのに
スローモーションは余計に甘えに感じてしまう。
ストーリーのほうは見る前から監督の名前を見れば
ストーリーに期待できないのは、本サイトをご覧の方にはご承知だろう
(エクスマキナ、ベクシルなどのレビューを参照ください)
特に1番最初、あらすじのようなものが入るのだが
英語でなおかつ高速で流れるため「え?え?え?」となる(苦笑)
あらすじは映画ではパンフレットでも読めということなのだろうか?
これなら、別に冒頭のあらすじ解説はいらない。シーンとして無駄だ
映画を見始めた瞬間から「見るのを辞めたくなる」作品はめったにない。
私はDVDでみたが、言語設定を間違えたのかと思い何度も確認してしまった
世界観・・・というよりも人物関係も複雑だ。
サークルメイジ、ブラッドメイジ、シーカーズ、テンプラーズと
4つの組織があり、本来ならあらすじで解説できる簡単な関係性が
あらすじが早い英語で解説されてしまうため、
ストーリー上で察するしか無い。
この作品独自の用語も多い
例えば教会という言葉をチャペルや教会といってくれればわかるが、
チャントリーというこの作品独自の言葉で会話の中で使われており、
横文字だらけの世界観は把握するまで時間がかかる。
ストーリーとしてはかなり王道だ。
悪い魔法使いがドラゴン操れる少女使って悪いことをしようとしてる、
だけど、本当は教会の誰かが裏切っていて少女を利用して何かしようとしている
主人公は師匠的な存在と一緒に少女を連れ出し逃げるが・・・というところから
ストーリーは始まる。
いわゆる剣と魔法の世界で、裏切り者はわかりやすい。
あ、こいつかこいつだなと見だして10分もしないうちに分かるだろう
ストーリーは本当に王道でそれ以上でもそれ以下でもない。
ゲーム原作なだけに無茶はできないという感じなのかもしれない。
終盤で主人公が敵に情けをかけ、殺すのをやめる。
だが、もう一度敵が襲ってきた時に容赦なく殺す
「憎しみは新たな憎しみを生む」という台詞を言いながら殺すのをやめたはずなのだが、
あっさりと首をはねたことでその台詞を言ったことは完璧に無価値になってしまう。
更にラスボス。
このシーンだけは本作品で唯一の見所だ、
敵のラスボスが巨大なクリーチャーに変身し、ドラゴンと対決する。
ドラゴンやクリーチャーの3DCGだけは異常に質がいいため
巨大なクリーチャー同士の戦いは見ものといえるだろう。
だが、それを主人公が台無しする。
ラスボスは少女が操るドラゴンに燃やされる、主人公は何もしていない(笑)
(主人公は1人でドラゴンを倒すことは出来る様子、首筋にナイフ突き立てるだけだがw)
ラスボスがドラゴンの炎で燃え尽きる様子を見ながら、
ドヤ顔で決め台詞を言い放ち、上から落ちて剣をぶっさすだけ。
そのシーンの前に激しいラスボスとドラゴンの対決を見ているだけに何ともショボイ。
肝心のドラゴンを操る少女も重要人物なはずなのだが
掘り下げが一切されず「ドラゴンを操れる少女」というキャラなだけ、
台詞もほとんどなく、設定上必要な存在というだけで
キャラクターとしての魅力がなかったのは残念だ。
全体的に見てチープな作品だ。
ドラゴンやクリーチャー以外の3DCGのレベルは低く、
戦闘シーンはスローモーション連発、ストーリーは王道で予測できる展開が多く、
そこにこの作品ならではの魅力を見いだせない
更に続きはゲームで・・・なのか続編なのか
続きがあるようなシーンで締めているのも評価が下がったポイントだ。
また主人公を演じている「栗山千明」さんもものすごい下手というわけではないのだが、
かなりのセリフ量を喋れるレベルの演技とはいえず、
脇役だったらそこまで気にならなかっただろうがメインとして演じられていると
所々演技が気になる点が多い。
曽利文彦監督の3DCG作品は今後も作られるのだろうか?
3DCGの質は確かにいいのだが、毎作「面白みのあるシーン」が少なく
質だけいい3DCGアニメになっているのは残念だ。
ストーリーも曽利文彦監督の場合は毎回、王道かそれ以下でしかなく期待できない
(本作はSFでもなく原作があるのでいつもよりましだ)
実写映画ではそれなりの評価が得られている監督さんなだけに
なぜ、3DCGアニメ作品にここまでこだわっているのかよくわからない感じだ
個人的にはゲーム未プレイで本作品を見始めたが、
意外にゲームの知識が必要がないところには驚いたが、
ゲームをやっていれば評価がもう少し違ったのだろうか???
ファン向け作品・・・という印象も受けなかっただけに、
ゲームをやっていたらどういう印象を受けたのか気になるところだ
もし本レビューを読んだ方で、原作ゲームもやっていて映画も見た方がいれば
感想を教えてくださると嬉しいです。
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