1966年初夏、船乗りの父親の仕事の都合で、横須賀から長崎県の佐世保市にある佐世保東高校に転校してきた男子高校生・西見薫。転校初日、バンカラな男・川渕千太郎との出会いをきっかけに、ジャズの魅力にはまり、薫の高校生活は思わぬ方向へ変化していく。更に、薫は千太郎の幼馴染・迎律子に、律子は千太郎に、千太郎は上級生の深堀百合香にと、それぞれの恋の行方も複雑になっていく。
音楽に言葉はいらない
原作は少女漫画な本作品でノイタミナで放映された作品だ
アニメとしては珍しい・・・というより、
恐らくアニメ業界としては初の「ジャズ」アニメだ
基本的なストーリーは青春音楽もの。
時代は昭和、1960年台を舞台とし転校ばかりしていた主人公が
長崎県の佐世保に引越し、そこで1人の不良と一人の少女に出会ったことにより
「ジャズ」の世界へとのめり込んでいく。という感じだろうか
序盤からこの作品は「魅せる」、独特のキャラクターデザインと作画は
若干「ジブリ」を感じさせるような感じでもあるが、
雰囲気のある作画が「昭和」という懐かしさを感じさせると同時に
「坂道のアポロン」という世界観にぐぃっと入り込むことができる。
更に演奏シーン、序盤主人公が出会う不良(バンカラ)が
木の棒でドラムのごとく色々なものを叩くシーンや、
実際にドラムを叩くシーンなどワクワク感が止まらない
「ジャズ」の世界に視聴者と主人公が同時に引きこまれていく一体感があった
そしてキャラクターの魅力。
序盤から魅力を感じるのは主人公よりもヒロインだろう
キャラクターデザインこそ「田舎のちょっと可愛い女の子」なのだが
演じている「南里侑香」さんの可愛らしい声とヒロインの性格の良さ、
更には博多弁というなまりがヒロインの純粋な可愛さを助長しており
久しぶりに素直に「可愛い」と思えるヒロインだ。
更にヒロインだけではない、主人公は若干面倒くさい感じの性格だが
彼を取り巻くキャラクターはそれぞれ活き活きとしており、魅力的だ。
丁寧な心理描写とキャラクターの動き方が、見ている側にすんなりと
感情移入させることができ、登場人物が喜べばこっちも嬉しい気持ちになり
悲しくなれれば悲しいい気持ちになる。
そして音楽を楽しんでいるときは、こっちまで楽しくなってしまう
ストーリー的には本当に青い。青春という言葉以外では表現できないほど
青臭いストーリーはどこかで見たストーリーではあるのだが、
作画、雰囲気、そして「ジャズ」というスパイスが
ただの青春ストーリーだけに収まらない
キャラクターたちの恋愛はもしジャズというスパイスがなければ
かなり「ドロドロ」っとしたものになりやすい感じだ
単純に言えば三角関係で、話が進めば恋愛は更に複雑になっていく
だが、随所随所にジャズと言う要素を織り交ぜることで
重くなりすぎず、ジャズのごとくスイングしていく
恋愛の進展、解決、些細な喧嘩。
物語の重要な部分に「ジャズ」が絡み、楽しそうに演奏する
キャラクターの「ジャズが好きだ!」「演奏が楽しい!」という雰囲気が
画面からにじみ出ており、見ている&聞いてるこっちも
ジャズの魅力にはまっていく。
一歩間違えばかなり重くなる要素も多い、
主人公と友人の生い立ちは重く、家庭環境も複雑、
サブキャラクターも昭和という時代ならではの「学生運動」をしていたりと
かなり危うい設定や要素も多いところをぎりぎり踏みとどまっている。
ストーリーも予想できない展開が多く、
ジャズだけじゃない、キャラクターの魅力やストーリーの面白さを感じさせられた
ただ、難を言うなら予想できない展開というよりも予想外の展開に
終盤展開してしまい「本来なら最高潮に盛り上がるべき所」の前に急展開になり
最終話ではあまりにも飛びすぎてしまって若干ながら肩透かしを食らってしまった。
1クールできっちりとまとめてはいるものの、
人によっては終盤の展開はしっくりとこないかもしれない。
1クールという尺の短さが終盤で仇になってしまった印象だ
全体的に見て素晴らしい作品だった。
演奏シーンの作画は動き過ぎというくらい動いており迫力抜群、
ジャズを知らなくてもジャズを知っていても
「音楽」を通じて変わっていく人間関係はとても面白く、
先の読めない恋愛はストーリーとして純粋に楽しめた。
やはり、本作品でもっとも注目スべきなのは演奏シーンだろう
レコード屋の地下での演奏に始まり、ジャズバー、学園祭、
一切妥協せずに描かれた演奏シーンは素直に賞賛したい。
音楽の面でも登場人物が「まるで殴りあいだ」という演奏をするのだが、
おそらく音楽について全然わからない人が聞いても
「なるほど、コレは殴りあいだ」ということがはっきりと分かるほど
音響面での演出が素晴らしかった。
音の圧をしっかりと感じられるアニメ作品などなかなかお目にかかれない
本作品は最近の作品にしては珍しく、好き嫌いの別れない作品だ。
人によってこの作品から感じる面白さの度合いは違うだろうが
「つまらない」と感じさせない、確実に「面白い」と感じさせる作品だ
文句なしに★5つをつけた作品だが、欠点を述べるとするならば
やはり終盤のストーリーの急展開さと、
主人公の若干めんどくさい性格という部分だろう
ただ、それを差し置いても、この「坂道のアポロン」という作品は
1度は見ていただきたい作品だ。
上に張っているPVを見て、「面白そう」と少しでも感じた方はぜひ見て欲しい
絶対に損はしない、ストレートにおすすめできる作品です
ついでにだが、これは超個人的な意見なので評価には関係ないが
YUKIがアニメのOPやるのは本当にいいな~・・・w
OPは毎話必ず音量を5割増しにして聞いていました(笑)
これから始まるアニメへの期待感がYUKIの声と菅野よう子の曲で最高潮になる、
そんな素晴らしいOPです。
これでこそ「ノイタミナ」というのを感じさせられた作品だ。
最近のノイタミナはどこかずれている作品が多かったが、
本作品はノイタミナ作品らしい作品だった。
ノイタミナ作品の傾向として実写化もあり得るのだろうか?
かなりハードルは高くなっているが、実写化も見てみたい感じもある
大失敗か大成功のどちらかしか無いだろうが・・・(苦笑)
今後のノイタミナ作品にも期待を持てる作品でした
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