宇宙世紀0153年、地球圏を統治している地球連邦政府は形骸化し、宇宙に存在する各サイドは連邦政府の統制を離れた独自の道を歩み始め、各地で紛争が勃発する「宇宙戦国時代」に突入していた。
全てはカテジナさんの手の上で
だが、wikipediaを見てもらえばわかるが色々な意味で
問題作と言われる作品だ。
基本的なストーリーは13歳の主人公が偶然、
帝国軍であるベスパと、そんな帝国に対抗している
リガ・ミリティアの戦闘に巻き込まれる。
そんなかで彼はパイロットを引きずりおろしMSを奪ってしまうところから
ストーリーは始まる。
一話の時点から時系列シャッフルで始まるのもかなり珍しい、
どんな状況かわからないまま、いきなり戦闘シーンが始まり
わけもわからないまま主人公がいつのまにか合体するガンダムに乗って戦っている。
この1話の時点から一種の不安がよぎる
序盤のストーリーは子供が戦争に巻き込まれるという状況を描いている。
だが、彼はただの子供じゃない。
天才的なまでの操縦技術と、機転の良さのお陰で子供ながらに
エースパイロットのような活躍をしてしまう。
そのせいで、帝国軍に対抗している反乱軍に利用される。
彼も守るために、子供ながらに戦う。
序盤の戦い方は作画こそ古いものの、戦闘シーンの面白さは群を抜いている。
特に合体変形するガンダムという特質を生かした
「ガンダムの上半身だけで戦う」、「変形しながらつっこむ」など
見ながら緊張するシーンの連続で気を抜けない。
だが、それが故に戦争が、敵の死が彼に、13歳という少年に重くのしかかる
この主人公は出来過ぎなくらい主人公らしい。
だが、その反面、彼を取り巻くキャラクターがかなり異質だ。
少年の主人公に死刑シーンまで見せて戦わせようとする反乱軍、
主人公と故郷に戻りたいと何度も訴え戦闘中に種を植えようとする幼馴染、
まともなキャラクターが居ても、主人公の目の前でどんどんと死んでいく
ある意味、リアルな戦争とも言える。
主要キャラが死なないという甘さは一切無く、
主人公と少しでも関わりがあれば死亡フラグが必ず立っている状態で、
本当に油断すればすぐに死んでしまう(苦笑)
ここまで簡単に多くの人が死んでいく
ガンダム作品というのはこの作品ぐらいじゃないだろうか。
本当に、本当に簡単に死ぬ。
わかってはいるのだけれども、あまりにもあっさりと死んでいくため
「殺しすぎだろ!」と思わず突っ込んでしまうくらいだ。
最初から最後まで生き残っているキャラクターは本当に数えるほどしか居ない
キャラクターによっては名前を覚える前に死んでしまう(苦笑)
そして最大級なのは主人公の母親の死だろう。
あまりにも残酷な死に際はやりすぎなくらいだ
死に関してはこのVガンダムという作品は徹底しすぎている。
主人公が殺した敵兵の家族を、自ら作った墓に案内するなど
13歳の少年には重すぎる役目とストーリー展開まで有り、
子供が見るにはつらすぎるストーリー展開といえるだろう
ただストーリー自体はわかりやすい。
小学生に受け入れやすくするためという前提のもとに
あまり複雑にしすぎずに主人公が中心としたストーリーを描く
だが、その中にあまりにも重い展開は本当に小学生に受け入れやすくするために
作った作品なのだろうかと感じる。
大人でも「きつい」と感じる部分が多々ある作品だ。
更に、そんなまっすぐなストーリーを「大人」がおかしくする。
特に主人公が序盤からうざいまでの恋心を抱いていた
「カテジナ」の行動原理に至っては話が進めば進むほど理解に苦しむ。
この「カテジナ」というキャラはVガンダムの最大の特徴であり
最大の欠点でもある。
彼女は最初こそ少年が戦場に駆り出されることに強い嫌悪感を抱く女性であり、
主人公の憧れの女性だった。
だが、捕虜にされた途端、なぜか敵に恋心?をいだき敵の考えに賛同。
主人公の目の前に立ちふさがり、主人公を倒そうとする。
これだけなら、まだ「わかりやすい主人公がやりにくい敵」なのだが、
彼女の行動は奇っ怪すぎるのだ
特に終盤の「女を水着姿にして主人公に向かわせる」という
なんというか・・・文章にして書いてるだけで頭が痛くなるような
戦法を本気で使ったりと意味不明だ(苦笑)
彼女の狂気じみた行動は作品中最も印象に残ったキャラだろう
更に言えば、敵である帝国の目的も極論すぎてついていけない。
勧善懲悪ぎみになってしまっているストーリーは
今までのガンダム作品のファンにはいろいろな意味で困惑させられるだろう
ストーリーに関しては色々と問題な部分はある、
だが、根本にある「少年・少女の成長」というのがきっちりと描かれている。
多くの戦場を経験し、多くの死を経験し、多くの出来事を味わい
主人公だけでなく、この作品に登場している少年少女たちが
きちんと成長しているのが実感しやすい作品だ
この点がぶれずに描かれているので、この作品は「見れる」作品になっている
また同時に戦闘シーンは素晴らしい。
序盤のVガンダムの合体システムを生かした機転の聞いた戦闘シーンや、
子供ながらなのか、ニュータイプだからなのかわからないが
主人公の奇抜な戦闘方法は昨今の「早いだけ」「作画がいいだけ」の
戦闘シーンではなく、緊張と面白さが融合した素晴らしい戦闘シーンだ。
見ていて「ワクワク」する戦闘シーンは男心をくすぐる
また、後半からの戦闘シーンも「V2ガンダム」の光の翼のかっこ良さや
ガンダムの足だけを大量射出するなどの、トリッキーな戦闘方法と
V2ガンダムの応用の効き方は純粋に楽しめた。
だが、その反面、V2ガンダム以外の機体の印象がひどく薄い。
奇抜なデザインのMSは確かに悪い意味では印象に残るのだが、
かっこいいと呼べるようなデザインはあまりなく、
V2ガンダムの印象しか残らなかった。
世界観に合わない「バイク型MS」などもかっこいいわけではなく、
変なダサさがあった。
いい意味でも悪い意味でも「Vガンダム」という作品は
昔のアニメらしい作品といえるかもしれない。
作画の良さに頼らない戦闘シーン、主人公が主人公らしいというキャラ性、
理不尽なまでのストーリー、理解に苦しむキャラクターなど
昔のアニメらしい面白みと不理解さが混同している作品だった。
全体的に見て評価が難しい作品といえる。
勧善懲悪ぎみなストーリーは賛否が分かれるが、
その反面、主人公の成長はしっかり描いている、
だが、おかしなキャラクターが成長ストーリーを素直に楽しめず、
同時に大量死んでいくキャラクターたちは主人公に感情移入できるのだが
あまりにも殺し過ぎなため若干引いてしまうぐらいだ。
面白い部分はある、だが、その面白い部分を殺してしまうぐらい
理解不能や理不尽な部分が多い。
簡単にいえば1度目はいろいろな意味で楽しめるのだが
もう1度見るのは非常に疲れる作品だ。
個人的な意見になるが、Vガンダムは不評な噂しか聞かず
今まで見ようとは思わなかった。
だが、いざ見たら不思議な魅力のある作品だった。
更に個人的な意見を言えばハロの活躍がいちいちかっこよかった(笑)
面白いか面白く無いかという2択で言えば、この作品は面白くはない。
だが、楽しめるか楽しめないかという2択で言うならば
この作品は楽しめる作品だ。
ただ4クールという長さと作品の性質上、かなり見るのに体力がいる。
もし、この作品を見たこと無いけれど興味が湧いた方は気合を入れてみてほしい。
数多くの死に際を連続で見せられるので、
精神的にも元気な状態での鑑賞をおすすめしたい(苦笑)
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