評価/★★★★☆(61点)
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あらすじ
北幌高校に入学した黒沼爽子は、見た目が暗く、周りからは「貞子」と呼ばれ、
クラスに馴染めないでいた。
しかし、クラスメイトの風早翔太や吉田千鶴、矢野あやねなどの協力を得て、
周囲の誤解を解き、友情・恋愛などを通して成長していく。
8話以降、それまでがどうでもよくなった
君に届けのアニメ2期な本作品。
一期では結構絶賛気味なレビューを書いたが、
今期では残念ながらクォリティの低下が感じられた。
基本的なストーリーは一期からの続き。
一期から見てないと確実にストーリーはついていけない、
2話からは登場人物たちの学年が1つ上がっている。
ただ、2期の最初が総集編となっており本作品を最初から不安にさせる。
確かに1期のおさらいにはなったかもしれないが、
この最初の総集編が必要だったかを考えると難しいところだ
更に学年が上がったことにより新キャラクターが登場する。
こいつが・・・うん・・・
明らかに「話を引き伸ばすために登場させたキャラクター」の匂いがしまくっており
実際問題、こいつが居なければ話は早かった。
本作の筋としては「爽子と風早が付き合うまで」を描いてはいる、
だが、その本筋があまりにもすれ違いの連続で、
少女漫画や典型的な恋愛ものでありがちな展開が増えてしまい
本作品の「爽子の成長を描きながら周囲に溶け込みつつ淡い恋愛を描く」という魅力が
かなり薄れてしまっていた。
風早にヤキモチを焼かせるために新キャラである健人を出し、
風早に明確に爽子への気持ちを意識させるという役割としての新キャラは悪くはない、
こいつの軽すぎるキャラは使い方次第では面白い方向に行ったはずだ。
個人的には声優が「綺羅星!」な方で、あれがよぎってしまうのは私だけだろうか。
笑顔のポーズとか・・・w
だが、ストーリー的には彼を生かしているとはいえず
爽子と風早の気持ちのすれ違いを助長してるだけの存在の彼はウザク感じてしまう。
そもそも君に届けは少女漫画の雰囲気が最大限にあるのに、少女漫画らしくない点がよかった
爽子のキャラクターや成長劇と、それと一緒に徐々に変化していく風早への気持ちという
キャラクターの心理描写に重きをおいたストーリー展開がよかったのだが、
2期に入ってから急に少女漫画臭さが増してしまい展開までベタになってしまう。
またサブキャラクターの魅力も薄れる。
前期は2クールという尺で余裕があり、サブキャラの描写も深くできたが
今期では1クールという前期の半分の尺で、爽子と風早だけに焦点があってしまい
サブキャラが自然と動きしゃべっているというよりは、
爽子と風早との関係をすすめるためにサブキャラを出しているような印象を受けた。
正直、健人はいらなかっただろう。
すれ違いを生むためだけならば、序盤のチョコ渡せなかったのが些細なきっかけでもいい
風早の嫉妬を生むためだけならば、モブキャラと少し仲良く話してるのを見ただけでもいい
爽子と風早の失恋はすれ違いすぎる結果でもよかったはず。
健人というキャラの余計なお世話によるストーリー展開は違和感を感じた。
明らかに話がもたなかったから新キャラを投入した感じが強すぎる。
健人が後半ほとんど重要な役割ではなく、出番も減ったことがその証拠だろう
ストーリー的には7話までは本当にすれ違いの連続が繰り返すだけで、
君に届けらしさがなく「え?また勘違いのすれ違い展開になるの?」と
少し見ていて呆れてしまっていたぐらいだ。
ただ7話の後半からようやく「君に届け」らしさが出てくる
胡桃が健人をビンタし、爽子の心情の変化も徐々に現れ
今までの「すれ違い」がほどけていく感覚はフラストレーションを解き放れたように
一気に君に届けの世界観に飲み込まれていく。
特に9話は教室の扉越しに二人の気持ちを伝えあい、
必死に爽子が自分の思いを喋り、それを真摯に聞く風早、
そして自分の「好き」という気持ちをはっきりと涙ながらに言い放った爽子のセリフは
体中に染み渡るほど、素晴らしいシーンだった。
同時に能登麻美子さんの演技力の凄さを体中で感じてしまった。
あの教室の扉の演出も本当に憎い、好きと爽子が言った後の
あの風早の行動とシーンの切り替えは本当に本当に、よかった・・・
ただシーンの切り替えでギャグ的シーンになってしまって
せっかくの感動の余韻を味わえなかったが・・・(苦笑)
だが、これはこれで君に届けらしかったかもしれない
この9話はほぼ一話使って告白シーンを描いている。
ほんと・・・この9話だけでそれまでの8話のダメな部分が全て消え去りそうなほど
演出やテンポ、声優さんの演技、ストーリーの展開が心地良かった。
この9話のために、それまでの8話文の思や感情を溜め込んだと考えれば
健人の存在もある意味、この9話の評価を上げる要因の1つになっているかもしれない
更に10話・・・いやぁ、もう何だこれ(笑)
爽子に対する答えを風早がするのだが、あのシーンはずるすぎる。
本当に爽子同様、みているこっちも不意打ちをくらってしまいもうニヤニヤが止まらない。
そして10話最後でのあのシーン。
もう・・・お腹いっぱいです。
前期から続き、爽子の変化や成長を見てここまでやってきたという
本当に親心のような気持ちも溢れ
「よかったね、よかったね、うぅ(´;ω;`)」
とそんな感じになってしまいます。
その後の11話、最終話前半まではどちらかというと「ニヤニヤ」要素が強く
甘々でラブラブな二人を垣間見ることができる。
この11話と最終話は「反則」という言葉を思わず使ってしまいたくなるほど
作画や演技にも力が入っており、セリフの1つ1つやストーリー展開が素晴らしかった。
特に最終話での胡桃と爽子のシーンは色々なことに決着がついたことを実感させ、
サブキャラクターの魅力も存分にあふれていた。
一番驚いたのは龍の告白だったが・・・(笑)
全体的に8話以降の完成度は凄まじい。
だが、8話以前のフラストレーションの貯まりやすいストーリー構成と
新キャラクターの状況のかき回し具合を考えてしまうと、
高い評価をしたい反面、前半の目立っている悪い部分がどうしても足をひっぱる。
結果、一期よりも評価が少し下がってしまった。
3期の可能性はおそらく低いかもしれないが、原作がいまだに続いているらしく
3期をやるのだとしたら、蛇足に感じてしまうのかもしれない。
個人的には8話以降はものすごく楽しめた、だが8話以前はダレてる感じが強く
プロダクションIGの制作能力の低下も伺えてしまったことが残念でならない。
ただ終わったあとは君に届けの世界観に浸り、十分に楽しめた。
個人的には3期はやってほしくないと思っているのですが、どうなんでしょうか(苦笑)
最後に、本作品は能登麻美子さん無しでは絶対にここまでの作品になり得なかったでしょう。
彼女のあの必死な爽子を演じるときの声とギャグ部分でのギャップは
彼女の魅力を120%引き出し、君に届けの世界観をもう1つ上へと押し上げていました。
今後もご活躍期待しています。
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