ファムとイーリーは何でも願いが叶うという万能なる力を手に入れるため、遺跡を探していた。ある日、旅商人のガルフから万能なる力の在処を示すという地図を手に入れた二人はさっそくその遺跡に足を踏み込む。しかし遺跡は地図にはないトラップだらけ。さらに二人の行く手を阻もうとラーシャとミゲルも動いていた。
90年代王道ファンタジー
原作は漫画作品。
原作は未完のまま打ち切りになってしまったが
「万能なる力」を巡るエピソードとしてまとめた上で、
本作品が1995年にOVA化された
基本的なストーリーはファンタジー。
遺跡探検者の「ファム」と「イーリー」は万能なる力を求めて遺跡を旅していた
そんなある日、彼女たちは万能なる力の手がかりを見つけ・・・
というところかストーリーは始まる。
冒頭から97年代らしい剣と魔法のファンタジー世界が描かれる。
魔法を使うときに呪文を詠唱するなど、
懐かしいファンタジーアニメの世界に一気に引き込まれる。
だが、ストーリーがかなり単調だ。
全4話である程度まとめないといけないのは分かるのだが、
「主人公ダレだっけ?」と感じてしまう内容になっているのはいただけない。
序盤こそファムとイーリーの冒険譚になっており、
そこに絡む他の遺跡探検者二人とあくどい商人という感じで
バランスよく物語を進行していたのだが、
物語中盤で「王子」が追加されることで物語の主軸が
ファム&イーリーから王子に移ってしまった。
序盤は「なんでも願いが叶うお宝」を探しているという単純なストーリーなのだが
中盤からは「国を滅ぼした禁断の魔法を手に入れた魔法使いとそれを倒す王子」に
物語の主軸が移ってしまい、完璧に主人公が「王子」になってしまっている
ファムは王子に恋をしているので物語にカラミとしては悪くないのだが、
それこそ「イーリー」は置いてけぼりな印象が強く、
それまでのキャラが協力して「悪い魔法を使いを倒す」という
ひねりのないストーリーで終わらせてしまっている。
もしこれが、全24話の中の4話までならば、この後の展開が気になる感じだが
これは全4話の作品だ。
物語の方向性がいまいちしっかりしておらず、中盤から急に方向転換してしまい
結果として「それなりの面白さはあるが特別に面白くもない」作品に仕上がっている
全体的に見てキャラありきな作品になっており、
確かに声優さん達の演技がしっかりしており、後に実力派になる声優さんばかりだが
その演技やキャラの魅力にストーリーがついていっていない印象を受けてしまった。
作画や音楽などは悪くないだけにもう少し本作品だからこその魅力を感じられる
ストーリーを描いて欲しかった。
恐らく2クールの作品として作られたら随分と印象が違ったかもしれない。
4話という中途半端な話数ではストーリーで冒険することは危険で
「無難」に仕上げてしまった制作スタッフの気持ちもわかる。
さらに言えばこの作品の原作は事実上打ち切りで
巻数としては「1巻」しか原作が出ていない状況でのOVA化だ。
もっと広がる世界観やストーリーの可能性があっただけに非常に残念だ。
王道ファンタジーが好きならば、90分であっさりと見られる作品なので
それなりに楽しめる作品だろう。だが、あくまでも「それなり」だ。
2期や続編が作られるというのは、かなり奇跡に近いだろうが
もし・・・もし作られるならば見てみたい作品です。
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