評価/★★★★☆(79点)
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あらすじ
北幌高校に入学した黒沼爽子は、見た目が暗く、周りからは「貞子」と呼ばれ、
クラスに馴染めないでいた。
しかし、クラスメイトの風早翔太や吉田千鶴、矢野あやねなどの協力を得て、
周囲の誤解を解き、友情・恋愛などを通して成長していく。
名演・能登麻美子
原作は少女漫画な本作品。
少女漫画が原作のアニメ化の場合、売り上げ的に芳しくない場合が多いのだが
本作品は1巻あたり5000枚~7000枚売れており
少女漫画原作としては異例なヒットといえるだろう
基本的なストーリーは青春もの。
外見が地味で髪が長くあだ名が「貞子」と呼ばれている主人公が
爽やかでイケメンな風早に声をかけられたことにより
徐々に、徐々に、クラスに馴染んでいくさまを描いている
序盤はクラスから非常に浮いている爽子がだんだん
クラスになじんでいくところからストーリーが始まる。
基本はヒロインである爽子のひとり語りや心理描写を繊細に描きつつ、
爽子の視点でストーリーが展開していく。
クラスの馴染めない爽子を、爽やかすぎる風早が、あくまで自然に爽子の
世界を広げていこうとする様は非常に観ていて面白く
自然に友達ができたり、自然に会話しようとしたり爽子は努力する。
この爽子が非常におどおどしたキャラクターで、人付き合いが苦手
人付き合いが苦手だが、人付き合いをしたいと、みんなと仲良くなりたい願う
彼女の気持ちは非常に純粋で、非常にポジティブなのだが他人との付き合いがへただ
彼女は普通の人なら、そうは考えない、普通ならそうは受け取らず、
他人の言う嫌味でさえ彼女は嫌味と感じない。
その純粋さや、風早をめぐるトラブルも有り、また人間関係を閉ざそうとする
しかし、爽やかすぎる風早はあくまで自然に、あくまで的確に助言をする
逆の立場で考えてみろとか、助言が柔らかい所にも非常に好感な部分でした。
「自分の立場だけでなく、相手の立場も考えろと」
と、爽子に説く風早の爽やかさは若干鼻につきましたが、
彼の純粋さや爽子に対する気持ちは、少女漫画の男性キャラとしては好感が持てる
この作品は単純にストーリーとキャラクターの魅力が非常に強い。
おそらく、多くの人が一話を見ただけで主人公の爽子と風疾のことが好きになってしまい
この二人の行く末が気になって、気になって、気になって仕方なくなる
二人のキャラクター性は純粋で、無垢で、健気で、儚い
損な二人が紡ぐストーリーが見ていて危なかしく、青臭く、ほろ苦く、甘酸っぱい。
ストーリーが進めば進むほど、この作品にのめりこんでいってしまう
のめり込みながら同時に「親心」のようなものが湧き上がってしまうのは
なぜなんだろうか?(笑)
爽子が徐々にクラスに馴染んでいくたびに、
よかったね、よかったね(´;ω;`)と思ってしまうのは私だけなのだろうか(苦笑)
更には主要二人以外の登場キャラクターも非常にいい。
爽子の友達として、いかにもギャル系の二人、
この二人は言葉遣いも汚く見た目はギャルギャル。
少女漫画が原作ということで、
少女漫画ではお約束であろうドロドロした陰険な女子同士の争いなどもあるが、
爽子のずれた感性やポジティブな捉え方が、ドロドロとした雰囲気にはならないのは
ある意味本作の特性とも言えるだろう。
私は少女漫画のこういう部分が余り気に入らないのだが、本作品はそれを感じさせない
その顕著たる6話では、思わず涙がこぼれてしまった。
自分のせいで友達に悪い噂がたち、その噂を流したのが自分だと
攻められる彼女は、自分のことより、「友達の悪い噂」が嫌でしかたない。
撤回して欲しいと、一生懸命健気に訴える様子は思わず涙を誘ったが・・・
その噂の当事者である二人が、爽子はそんな噂を流す奴じゃないと
断言し爽子を守ろとし、二人とは既に友だちったと自覚する爽子は、
思わず涙が流れ名シーンと言わざるを終えない。
もう、本当の友達良かったね(泣)と親心的なところを
刺激される感じは少女漫画では珍しいかもしれない。
この6話までの話の流れ、登場人物の心理描写は★5つ100点を余裕でつけられる、
いや私自身が感情的に盛り上がってしまってるのも原因だろうが
6話までという限定ならば好きのない出来栄えだ。
友達が出来たあとは、風早に対する恋愛感情を徐々に自覚していく様は淡い、
女友達とは自然にしゃべれるようになっていき、下の名前で呼び合う、
だが男子は名前で呼べず「男子」と「女子」の違いを自覚し
「なんというか、すごく男子」という爽子のセリフはとても印象に残った
同時にサブキャラクターである爽子の友達二人や、真田 龍など、
メイン以外のサブキャラクターが非常に生き生きしたストーリー展開を構成し
見ているこっちが「君に届け」という世界観に浸ることができる
この雰囲気はなかなか他の作品では味わえない。
また爽やか、純真無垢さだけではなく、嫌味な部分もある。
これは物語の中盤から出てくる「くるみ」一人がになってしまっているが、
このキャラクター一人でストーリーの雰囲気や印象がガラリと変わる。
彼女はフランス人形のような外見と愛くるしい性格で周囲からの人気も高い
だが風早のことが好きでたまらず、風早の周囲の女子を排除しようとする
物凄いあくどく計算高い正確になっている。
主要な登場人物がいい人なひとが多いのに対し、彼女だけは黒く描かれている。
序盤は風早と仲がいい爽子の邪魔をするが、それが全く通じない爽子、
彼女の黒さを爽子の純真無垢な素直さが跳ね返していく様は
彼女の性格の悪さと相まって物語に一味スパイスを加えていた。
そして彼女が風早に告白したシーンは本当に優しい雰囲気になっていた。
最初の彼女の印象と、15話での彼女の印象はだいぶ違ったものになっている
くるみの「言っちゃった・・・」というセリフはとても可愛く感じてしまった
同時に「くるみ」を演じていた平野綾の性格の悪い女の演技は格別だ
性格の悪い女、ちょっとおかしい女をやらせたら平野綾はいい味を出してくれる
これは決して嫌味じゃない、事実だし、変に萌え萌えなキャラをやるより
彼女の演技が「性格の悪い女」と「ちょっとおかしい女」に最適なのだ
決して嫌味じゃない。決して。
そして話を追うごとに魅力を増していくもう一人の男性キャラクターの真田龍、
彼は最初は無口なキャラクターでギャグ要員かと思ったのだが
爽子の友人への一途な思い
くるみ、真田龍と、爽子の二人の友人と
サブキャラクターが本当に生き生きと動いており、
メインの二人以外のキャラの言動や行動に無駄がない。
サブキャラクターの恋愛もきっちりと描けており、
出てくるキャラクターに自然と感情移入できるさまは凄い。
またメインの風早も、ただのイケメンではなく
彼も恋愛には不器用で純粋で爽子に対し本当に優しい気持ちで、
不器用な彼はイケメンな感じだけでなく可愛らしさも兼ね備えているのは
少女漫画のアニメのヒロインの恋の相手としては、珍しいタイプかもしれない
作品全体の爽やかさや、淡い絵柄、セリフの浮き気味と
人によっては「受け入れられない」という人がいるかも知れないが、
性別を問わずに受け入れれられる恋愛アニメは凄いかもしれない。
残念ながら、2クールの長さを使って最終話は消化不良で終わってしまい
結末がつかないことの「モヤモヤ」感が募ってしまうのは残念でならない。
2期も放映されているので、
個人的には、主人公である爽子を演じた「能登麻美子さん」
物凄く声があっており、演技も素晴らしく
本作品で能登麻美子さんの声が好きになってしまいました。
2期を期待しています。
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