評価/★★☆☆☆(29点)
|
||
|
あらすじ
西暦2009年、巨人種族ゼントラーディとの間に勃発した第一次星間大戦において
絶滅の危機に瀕した地球人類は、種の保存のため大規模な移民船団を作り、
銀河系各方面へと旅立っていった。50年後の西暦2059年、銀河系中心宙域を旅する
マクロス・フロンティア船団において、マクロス・ギャラクシー船団の
人気歌手シェリル・ノームのライブが行われた当日、巨大な昆虫型宇宙生物バジュラの
群れが襲来し、人類対地球外生命体の新たな戦いが始まる。
あいつ、歌舞いてやがる!
マクロスFの劇場版アニメ、前後編に分かれており本作品は後編。
基本的に前編の続きなので前編もしくはTV版を見ていないとキツイだろう
冒頭のライブシーンは非常に良かった。
シェリルの歌声とともに多くの観客が描かれ、ライブの演出も極まり
劇場という音響や大きなスクリーンでの迫力は作品の世界観に引き込まれるものがあった。
ライブシーンという意味では実際のライブの演出のように非常に凝った内容になっており
こういうライブがあれば本当に楽しそうと感じる近未来のライブが感じられました
この演出は素直に賞賛したい。
ただライブシーンが必ず、吐血orお腹痛いor逃走でブツ切れになってしまい
すっきりした終わりのライブシーンがなかったのは残念でならない
イツワリノウタヒメと違い完全オリジナルストーリーでの展開で
先が読めない感じのストーリーが展開されるが、
基本的にヴァジュラとの戦闘を描きつつ人類の中での陰謀も描きつつ、
ヴァジュラとは?そしてランカやシェリルの秘密とは・・・
という新ストーリーを追いつつ三角関係な恋愛物語も進行する。
基本的に戦闘は二人のどちらかの歌の時に行われるが(ストーリー的に歌が重要なため)
この戦闘シーンは無駄に激しい。
練りこまられた作画と3DCGによる戦闘シーンは止め絵の時は非常に美しいのだが、
「魅せる戦闘」シーンではなく「ただ早く動いている」戦闘シーンのため落ち着きがなく
それに伴う戦闘のドキドキ感がまったくない、
確かに高画質なので綺麗ではあるんですが・・・・
少なくとも作画のレベル以外で褒める戦闘シーンではない、
激しさ、速さ、作画の高さでごまかしているだけで戦闘アクション自体の面白みがない、
少なくともTV版のマクロスFは私はレビューで見惚れるという言葉を使いたくなるくらい
いい戦闘シーンがったのに、劇場版という大きなスクリーンで
ミサイルをいっぱい飛ばすことによって誤魔化すだけではない戦闘を
見られなかったのは非常に残念でならない。
しかしながら圧倒的なミサイルの量で迫力が出てしまうのが悔しい(苦笑)
逆に早くない戦闘でのシーンのほうが引かれた。
主人公達の母艦であるマクロスクォーターの大気圏突入シーンでの
隕石を使い摩擦熱を回避し、更に破片で空中を波乗りするシーンは
アイデアとその巨大なロボットの迫力が凄まじく、決して早いシーンではないのに
引き込まれるものがあった。
私が観たかったのはただ早い戦闘シーンではなく、こういうシーンだ!と思わず実感した。
ストーリーのほうだが、TV版とは違いアルトがあまりブレていなかったのは好感が持てる。
最後にあちらの彼女を選んだ理由も納得できなくはないだろう。
前編でのストーリー展開を考慮しても私は彼の選択に納得が行く
ただ、その他が色々と酷い・・・
登場人物たちが死にかける→助かるのパターンが多すぎる上、
「あぁ、これ死んだな」的に思わせるシーンがあるキャラが生きてるパターンが
何回もあり、最後のほうでシェリルとランカの兄まで生きていたときは
思わず舌打ちしてしまうほどだった。
どうせ助かるなら、どうせあとで主人公と合流させるなら死んだかも的なシーンは要らない
無駄に尺を伸ばしているに過ぎず、何回も繰り返していれば
「どうせ生きてるんだろ?」とドキドキ感も喪失感も一切なくなる。
また人類同士の陰謀の方もグダグダだ。
散々序盤で思わせぶりな態度を示しておき、
いよいよテロ!ってなったら実は新統合政府にバレてました。
ここまではいいだろう、だが、結果的に最後はたった一人のテロリストにより逆転させられ、
新統合政府のお偉いさんはキャラの印象が強く敵として悪くないキャラだったのに
あっさりと殺され顔も見せないようなテロリストが敵の人類組織に
変わってしまったのは意味不明だ。
あそこで変えてしまう理由はあっただろうか?
三島はもっといい死に様があれば、キャラクターとしてもっと魅力が出たはずだ。
目的のためなら手段を選ばず邪魔になったものは殺す、
三島のキャラは適役としてばっちりで彼にはもっとふさわしい死に方があったはず。
そして最後のストーリー、これはネット上にも色々情報が流れているので
知っている方もいると思うが酷い、フロンティア船団を襲う宇宙生物だった
バジュラが実はランカやシェリルの歌で対話が可能である、
だが対話ではなく支配しようとするテロリストや新統合政府、
それを主人公達はとめつつ、バジュラの女王と対話をしようと試みるという感じなのだが
正直、序盤からラスト30分までのストーリーが死んだと思ってたら生きてました展開が多く
歌ばっかり流れていたような印象が強かったが、ラスト30分は楽しめた。
この先どうなるんだ?どう言う結末を見せるんだ?とそれなりにワクワクしてきた
しかし、やっちまいました。
バジュラとの意思の疎通が可能になり、
操られたバジュラの攻撃がランカやシェリルに当たる寸前に
バジュラたちが自らが盾となって防いでくれたシーンもあったのに・・・なぜ・・・
主人公を行方不明にした(苦笑)
主人公は自ら特攻し二人のバジュラの女王に歌を届ける、
後方ではバジュラの女王を倒そうと大量のマクロスキャノンが発車寸前!
この文章だけでドキドキしませんか?
そんなギリギリ状態でヴァジュラの女王にこちらの意思が伝わり、
主人公を自らの手に載せるバジュラの女王・・・
そして同時に発射される大量マクロスキャノン。
私は思ったんですよ、あぁ、ランカやシェリルをバジュラが盾になったのがフラグで
女王が自らを犠牲にして最後は対話できた人類の主人公を
大量のマクロスキャノンから守ってくれるんだと。
しかし、主人公は帰還せず行方不明。
主人公が選んだヒロインは植物状態になり、残ったヒロインがなんかいい感じにまとめる
雰囲気でごまかしてはいたが、主人公が帰ってくるような描写も
もう一人のヒロインが目覚める描写もなくエンドロールが流れる(苦笑)
いやいやいやいや・・・違うだろうと、
そこはすっきりとハッピーエンドにするべきじゃないんだろうか?
一応はネットで情報を集めたところ冒頭の結婚式シーンが
アルトが帰還しシェリルと結ばれるという事を描いているが、言われなきゃ気づかない
(その後シェリルのライブシーンになるため、ライブの演出だと感じてしまう)
更に言うなら主人公のあるセリフが何回も繰り返され、もういいよと思ってしまう。
バジュラと対話が可能と分かり、バジュラの意思が分る石を身につけていた主人公なのだが、
バジュラに攻撃が当たるたびに
「これがバジュラの痛みか!」というようなセリフが繰り返される(苦笑)
あのセリフば一度で十分なはずだ、なぜ無駄に繰り返したのだろうか?
更に更に言うなら、TVアニメでは盛り上がるセリフだった
「私たちの歌を聞けぇ!」が何故か映像のないエンドロールで言っていたり、
ランカのキラッ!のタイミングがおかしかったり、
本作品を見ていて私は「違和感」しか感じなかった。
全体的に見て予算度外視の壮大なプロモーションビデオのような印象だ。
主人公、ランカ、シェリルの三角関係のストーリーや3人の心情などは大変良く描けており
TVシリーズの主人公のブレブレな態度はなく、
最後にあのヒロインを選んだ展開もそれなりに納得出来るものが描かれており、
この三角関係だけみるならばそれなりに評価できる
だが、それを支えるSF設定や人類の陰謀などがブレブレでダラダラだ。
ストーリーの流れは悪くはないのだが決定的に脚本の弱さを感じてしまった
特にテロと新統合政府の陰謀の応酬は尺稼ぎなだけでグダグダ、
全て新統合政府の陰謀でそれを止める主人公のほうが明らかにすっきりし、
三島という良敵キャラに成り得たキャラをいろいろな意味で殺してしまった。
更に主要3人以外のキャラクターの扱い方が酷い
TVアニメでは印象的で個人的にはメインヒロインより好きだったクラン・クランは
ほとんど活躍しなくセリフも少ない。
劇場アニメという限られた時間の中である程度削らないといけないのは分かるのだが、
クラン・クランにいたってはファンも多かったはずなのに
あそこまで削ってしまったのは残念だ
これは個人的に感じたことだがTVアニメと違い
戦闘シーンと曲があっていないシーンがあった、特にランカが歌っているときは
曲と戦闘の内容とで違和感を感じてしまい激しい戦闘シーンの雰囲気を
邪魔しているものも多かった、もう少し選曲は考えて欲しいものだ
正直評価できるポイントは作画とライブシーンの演出だけで、
基本的なストーリーは褒められたものではない。
映画は必ずしもハッピーエンドにしろとは言わないが、
本作品の場合はぜひハッピーエンドを描いて欲しかった。
せっかく三角関係に決着をつけてもアレでは・・・(苦笑)
劇場で見る機会ができたのはある意味救いだったかもしれない、
DVD出るまで待ってPCで小さい画面で再生していたら
作画の良さやライブシーンの演出の迫力が薄れてしまい
もっと低い評価をしてしまったかもしれない。
やっぱり劇場アニメはある程度劇場に行こうと感じることのできた作品でした
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください