★★★★☆
喧嘩に明け暮れる荒んだ日々を送る高校生の沢村正治は、
その強さと凶暴さから「悪魔の右手」を持つ「狂犬」と仇名され、周りから恐れられていた。
彼自身は彼女がいるバラ色の高校生活を送ることを夢見ているのだが、
その悪評ゆえに女性は皆恐れをなして逃げてしまうため、
まともに女性と話すこともできず悶々とした日々を送っていた。
そんなある日正治の右手が突然女の子に変わってしまう。
その彼女は春日野美鳥という正治に片思いをしていた女の子だった。
内気な彼女は正治と付き合いたいという思いを長い間遂げられないまま過ごしており、
そんな自分から逃げるように魂だけ正治の右手に乗り移ってきたのである。
右手が恋人
某掲示板などでは、たまにみる「右手が恋人」のフレーズを
そのまま体現してしまった本作品。
ストーリーは、ある朝目覚めると右手が女の子に変わっているところから始まる
短いながらもよく出来た青春ラブストーリーです。
主人公に密かに思いを潜めていた「美鳥」が理由は不明のまま
主人公の右手として生活して良く様は非常に可愛らしく、
健気で明るい女の子が右手に居るなんてなんて幸せな奴なんだと(笑)
しかし、ストーリーの基板はしっかりとしており
安易な萌えに走らず、芯の通ったストーリー展開は好感が持てました。
終盤では、「美鳥」が右手の間の記憶忘れ元の姿に戻った後の展開は
青春とセンチメンタルさを秘めており、非常に後味のいいラストでした。
ただ、残念なことにキャラクターの深みが少し足りない。
「美鳥」の右手の時と普段の時の性格の違いや、3年間の片思いはよく描けていたのですが、
「美鳥」意外の人物の印象が薄い。
サブヒロインである女の子や、姉、フィギュアオタク、舎弟、近所の少女などいるものの
もう少し深みを持たせていれば、キャラクターの印象も深まったのに
若干薄味になっているのは残念。
しかし、複雑すぎないシンプルでわかりやすいラブストーリーは近年稀に見る作品です。
「右手が恋人」というフレーズにピン!と来たら是非、見てください。
見終わった後に「俺の右手にも女の子つかねぇかな」と思ってしまうかもしれません(笑)
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